生成AIで作られた画像に著作権は発生するのか。この問題は、広告、Web制作、SNS運用、商品開発など、実務の最前線で頻繁に問われています。
結論から言えば、原則として、人が創作していないAI生成物には著作権は発生しません。しかし、これは単純な白黒問題ではありません。人の関与の内容と程度によっては、著作物性が肯定される余地があり、ここが実務上の最大の注意点です。
著作権法の基本構造
著作権法は、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定義しています。この定義から導かれる重要なポイントは二つあります。
第一に、思想又は感情の主体は人であること。第二に、単なる結果ではなく、そこに創作的表現があることです。生成AIが自動的に出力した画像は、人の思想感情を直接表現したものとは評価しにくく、原則として著作物性は否定されます。
文化庁の整理と実務感覚
文化庁は、生成AIに関する考え方として、「人の創作的寄与が認められない場合、著作物性は否定される」と整理しています(文化庁「AIと著作権に関する考え方について(令和5年6月)」参照)。これは従来の著作権理論をAIにもそのまま当てはめたものです。
もっとも、実務では「どこまでが創作的寄与か」が問題になります。単にプロンプトを1回入力しただけなのか、何十回も試行錯誤し、生成結果を選別し、最終的に人が表現として完成させたのか。この差は極めて大きいのです。
参考になる判例の考え方
AIそのものを直接扱った日本の判例はまだ多くありませんが、写真やデータベースに関する判例は参考になります。たとえば、写真の著作物性を判断する裁判例では、「被写体の選択」「構図」「シャッターチャンス」など、人の判断が介在しているかが重視されてきました。
この考え方をAIに当てはめると、
- プロンプトの具体性
- 試行錯誤の過程
- 人による選別・修正
が、創作性判断の鍵になります。
【実務事例(架空)】
企業向け事例:
広告代理店が生成AIでビジュアルを制作し、「著作権譲渡」を前提にクライアントへ納品。しかし後日、クライアント側の法務チェックで「そもそも著作権が発生していないのではないか」と問題化しました。結果として、契約条項の見直しと再制作が必要になりました。
クリエイター向け事例:
個人クリエイターがAI生成イラストを「自作」として販売。購入者から「著作権は本当にあるのか」と指摘され、炎上。創作過程を説明できず、信頼を失いました。
実務での対応指針
- AI生成物は原則「著作権なし」を前提に考える
- 人の関与がある場合は、その内容を説明できるようにする
- 著作権の有無を前提にした契約設計を避ける
生成AI時代の著作権は、「あるかないか」よりも、「説明できるか」が重要です。



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